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生産者紹介

武 久(福岡県筑後市長浜)

●本物の原木乾し椎茸の味

乾物は古来より日本人に食されてきた、伝統的な保存食材です。天日や風にさらし、水分を抜くことで保存性・栄養価が高まるだけでなく、うま味や食感も増します。扱いに慣れると使い方も簡単で、あと一品ほしいときなど何かと重宝します。

乾物のなかでも身近な「乾し椎茸」ですが、現在日本で流通している乾し椎茸の60%以上は中国産で、そのほとんどが味・香り・歯ざわりの悪い菌床栽培です。このままでは本物の乾し椎茸のおいしさを知らない人が増えるのでは、と危惧してしまいます。

ムソーの「大分産椎茸」はその名の通り、大分県産の原木栽培椎茸をゆっくり時間をかけて乾燥させた逸品。市販の中国産と食べ比べれば、その差に改めて驚かれると思います

●この道50年の目利きが光る

大分県産の乾し椎茸は、国内生産量の38%(平成21年次林野庁統計)を占め、質・量共に日本一を誇る全国ブランド。樹皮が厚く最も良質の椎茸を育むクヌギ原木を使い、無農薬で栽培される大分県産乾し椎茸は、大型で肉厚な傘を持ち、香りや歯ごたえが良いのが特徴です

栽培農家は、まずはクヌギを伐採して1m前後の長さに玉切りし、ドリルで穴を開けて椎茸菌を打ち込みます。その重たい木を風通しのよい木陰に移動させ(本伏せ)、椎茸菌が木の内側に充分に行き渡ったら、湿気が比較的高い林内に移動させて合掌形に組みます(ほだ起こし)。こうして植菌から約1年半~2年かけて椎茸が発生。ていねいに採取して、型崩れや変色、シワが生じないよう温度と時間を管理しながら熱風乾燥して出荷します。

(株)武久は、この道50年の椎茸のプロ。入札所に並んだ乾し椎茸の箱に手を伸ばし、色と形と香りを目利きして納得のいく品だけを仕入れます。「上等の乾し椎茸とは、しっかり乾燥していて傘の表面に艶があり、裏側は淡い黄色のもの。形は栽培中の温度と雨量によって、肉厚のどんこと傘が開いたこうしんに分かれます」。こうして仕入れた乾し椎茸を、さらに2~3時間天日にあてて熟成させ、風味とビタミンDを増してから袋詰めします。

●「食の基本」を伝え続ける

(株)武久の武久和生さんは、食生活の変化による乾し椎茸の消費低迷に心を痛める一人です。「乾し椎茸は水に戻して料理しなくてはいけません。今の社会は忙しい人ばかり、そのため伸びているのは中食といわれる惣菜です。10年前は一世帯当たり年間200g近くの乾し椎茸を購入していましたが、今はその半分。このままだと椎茸産業はなくなってしまいます」。

武久さんは日本の伝統的な和の食材=「ま(豆)ご(胡麻)わ(わかめ)や(野菜)さ(魚)し(椎茸)い(芋)」の素晴らしさを伝えて消費者の健康に貢献しようと、地元でマクロビオティック料理教室を開催。お子さん連れ歓迎の椎茸狩りツアーも企画して、原木から椎茸を採る感動、食べものへの感謝の心を伝えようと奮闘しています。

丸正狩野水産(北海道余市郡余市町)

●余市前浜に戻ってきた幻のニシン

2010年春、北海道余市の前浜にニシンの群れが50年ぶりに戻ってきました。2月9日、産卵のため前浜に押し寄せたニシンの雄が放出した精子で海面が乳白色に染まる「群来(くき)」が確認されたのです。北海道日本海沿岸の漁師町がニシン豊漁に湧いたのは、昭和20年代の終わり頃まで。1954年の群来を最後にすっかりなりをひそめ、「幻の魚」となりました。それ以来、日本のお正月に欠かせない数の子も、米国・カナダ・ソ連・ヨーロッパなどから卵を抱いた冷凍ニシンを輸入するようになりました。復活のきっかけは、北海道が1996年に始めた「日本海ニシン資源増大プロジェクト」。復活の夢を追って稚内、余市中央の両水産試験場の研究員が「稚魚の生産と放流」「産卵場所の形成」「未成熟魚の保護」を柱にプロジェクトを開始、その成果が純国産の魚群復活に結びついたのです。2004年春、石狩湾に魚影が現れて1,000トンが水揚げされ、2009年から2011年には各約2,000トンの漁獲がありました。今回ムソーから発売する「塩数の子〈国産数の子〉」は、2011年1月から3月に石狩湾で穫れた貴重なニシンの魚卵を、伝統製法に則って加工した品です。製造は地元余市の丸正狩野水産です。

 

●「無漂白」に込めた思い

 

丸正狩野水産の創業は1955年。身欠きニシンや数の子、鰊粕(肥料)を作る加工場としてスタートしましたが、その頃からニシンの群来が途絶え始めました。そこで世界各地のニシン漁場を渡り歩いて日本人の味覚に合うニシンを探し、主に北米やカナダから選りすぐりの魚体を冷凍で輸入。身欠きニシンや数の子などの製造を担ってきました。現在は二代目の狩野敏哉さんが、先代から受け継いだ伝統的な製造法を固守しながら、安心して食べていただける水産加工品作りに取り組んでいます。「塩漬け」は、保存食の中でも最もシンプルでポピュラーな製造法です。けれども、塩数の子の製造に関しては、この当たり前のことが昭和30年頃から次第に通用しなくなりました。縁起物として進物に使われることが多い塩数の子に、人々は見た目の美しさを求めたため、過酸化水素水による「漂白」工程を加えざるを得なくなったのです。狩野さんはここ数年、安全な食べものを求める消費者の声に応えて、米国産の魚卵で「無漂白・無選別 塩数の子」を数量限定で製造し、「数の子本来の旨味や風味が楽しめる」と大好評でした。今年は念願の石狩湾前浜ニシンの魚卵を使って、いっそう気合いの入った仕事となりました。「無漂白」は、安心安全はもとより「素材の本来の姿と向き合いましょう」という狩野さんのメッセージでもあります。

 

●数の子本来の旨みと風味

 
「塩数の子」の製造法は伝統的でシンプル。今春獲れた直後に冷凍した新鮮な抱卵ニシンの腹を裂いて卵を取り出し、漂白剤を一切使用せず、昔ながらの塩水で血抜きを行い、塩固めした数の子です。茶色味を帯びた色にばらつきがありますが、数の子本来の味が楽しめます。塩数の子は塩抜きして薄皮を除き、だし100ml、淡口醤油大さじ2、酒大さじ1、みりん大さじ1を鍋に合わせ、ひと煮立ちさせて冷ました調味液に数時間漬け込んでお召し上がりください。削り節をまぶすといっそうおいしくなります。
「味付け数の子」は、上述の塩数の子を塩抜きして調味液に漬けてあるので、解凍してすぐ召し上がれます。調味液はもちろん化学調味料不使用。ヤマヒサ純正醤油、三温糖、天塩、発酵調味料(味の母)、かつお風味調味料(だし亭や・かつおだし)だけで作った安心のムソー仕様です。

 

千葉産直サービス(千葉県千葉市若葉区)

●旬や産地が見える、美味しい食
旬の脂ののったイワシやさんまを骨まるごとシーズンパックした「とろ青魚缶詰シリーズ」でおなじみ、千葉産直サービス。旬や産地がわかり、原料がはっきりとした本格素材だけで、何よりも「美味しい」を創造することに情熱を傾け、納得のいく商品だけの企画・開発に取り組んでいます。
ロングセラーの「ミニとろいわし・味付」や「とろさんま・しょうゆ味」の一括表示を見ていただければわかる通り、その原材料はシンプルかつ良質。化学調味料をはじめとする合成添加物を一切使用していません。その理由は、同社が「自然の海と大地が育みだす“旬の素材”や“産地”の作り手の思いに感謝し、素材の持つ本来の美味しさを大切にすれば、添加物など余分なモノは必要ない」と考えるからです。その信念にムソーは深く共感し、長いお付き合いを続けています。そんな千葉産直サービスからお正月料理として、鴨鍋セットと鴨ロースたたきの提案をいただきました。サンプルの鴨鍋を試食して、そのおいしさに驚嘆。冬のだんらんにぴったりの品として、お正月料理パンフレットに初登場となりました。

 ●青森県育ちの本場フランス鴨  
                                                    
                     
 

                                                                       

フランスの高級本鴨バルバリー種は、日本で流通している一般的な合鴨に比べると皮下脂肪が少なく、鴨特有のクセが少なくて、しっかりした旨味があります。この食通垂涎のバルバリー種を、雄大な自然が広がる八甲田山麓から津軽地方の地域で健康的に飼育し、青森県産のフランス産バルバリー種の鴨肉として皆様にお届けします。まずフランス産バルバリー種のヒナ【二世】を本場フランスから輸入して、国内で約210日ほど生育してから採卵を始めます。生まれた卵は約35日で孵化し、約80日ほどの若鶏【三世】に育ててからお肉にします。「フランス鴨」は種鳥(ペアレンツ)を国内で作るのは難しいため、フランスで一世(グランドペアレンツ)を飼育し、二世であるヒナを1年に3回ほどフランスから運ぶのです。
生産団体は青森県内に7農場を持つ(株)ジャパンフォアグラ。開放型鶏舎で平飼い飼育し(坪当たり15羽)、全飼育期間で抗生物質・合成抗菌剤は一切不使用です。

●新春の食卓にふさわしい逸品
 「青森産本鴨鍋セット」は、ムソー仕様の特製鍋つゆをセットしました。鍋つゆ1パックに対し800mlの水を加えて煮立たせ、ご家庭で用意した白菜、長ねぎ、ごぼう、人参などを煮えにくい順に入れ、次に鴨モモ肉スライスを入れます。鴨モモ肉の旨味がだしに出たところで、鴨ロースしゃぶしゃぶ用を入れ、さっと火が通った頃が食べ頃です。豆腐やしらたきを加えても美味。仕上げは極上のスープにご飯やうどん、お餅を入れて召し上がれ。
盛り付け例※野菜は含まれておりません

 

 


新鮮な鴨ロースだからこそできる青森産「本鴨ロースたたき」は、表面だけを香ばしく焼き上げた品。中は赤みが残るレア状態で、ジューシーな旨味が残り、くせもなくすっきりした深い味です。鴨肉の素材以外、添加物も調味料も使用していませんが、肉そのものがおいしいので、わさび醤油や酢醤油、しょうが醤油などだけで十分堪能できます。解凍でスライスするのがコツ。レストランの味をご家庭でお楽しみください。

無双本舗(奈良県奈良市月ヶ瀬)

●心ある丁寧な食品作り

梅醤エキス、生姜粉末、玄米クリーム、鉄火みそなどの無双本舗の正食品は、ムソー食品工業(株)が製造しています。同社は1980年にムソー株式会社の製造部門として設立。2002年に(有)無双本舗おばあちゃんの知恵袋を設立し、「身近な食物による手当て法」などマクロビオティック食品のブランド会社となりました。先代の田畠正敏社長は正食を深く学んだ実践者であり、人を信じる理想家、困っている方を放っておけない“おせっかい焼き”でもありました、と弟の田畠本英さん。「食べ物は、身体のエネルギーになる以外にも大きな力を持っています。昔の人はこのことをよく知っていました。むやみに薬に頼るのではなく、自然の力を見直しませんか?」。先代が残したこの言葉が、今も無双本舗の指針です。

●マクロビオティックの定番「梅醤番茶」

正食=マクロビオティックとは、日本に古くから伝わる食養生のこと。今、「食育」として注目されている石塚左玄の考えを引き継ぎ、東洋の深い知恵「易」の原理を加え、桜沢如一先生が「無双原理」として確立。世界に広めた新しい生活法です。
食養手当て法の中で、生姜シップと並んで最も多く用いられるのが、身体を温める梅醤番茶です。梅干1個と純正醤油大さじ1杯をよく練り、そこに生姜おろし汁を2滴落とし、その上に熱い番茶を茶碗に八分目ほど注いでかき回してから服用します。
梅醤番茶は健康な人にもおすすめします。心身ともに爽快になるでしょう。特に夏の暑い時には梅醤番茶の塩分補給作用により夏バテ解消になりますし、冬は血行促進により身体をあたため活発にします。
梅醤番茶の卓効は、血行を良くし体内の新陳代謝を促進するからですが、材料である梅干・醤油・番茶の効用も見逃してはなりません。梅干のクエン酸は血液を浄化し、醤油の酵素は胃腸を活性化し、番茶には胃腸を整調する作用があります(正食出版「身近かな食物による手当て法」より)。


●毎日手軽に続ける健康習慣

この優れた梅醤番茶をもっと身近に、と誕生したのが無双本舗のロングセラー「有機梅醤陽寿」です。奈良県奥吉野の大和まごころ会が有機栽培した青梅を、減塩しない本物の梅干にし、杉樽仕込みの有機醤油と練り合わせてあります。湯のみに小さじ1~2杯の梅醤陽寿を入れ、熱い無双番茶を七分目ほど注いでください。少量の生姜を加えるとよりおいしくなります。姉妹品の「生姜・番茶入り梅醤」「有機梅干番茶・スティック」も定番ですが、最近飛びぬけて人気なのが「国産生姜入り梅干番茶スティック」だそうです。こちらは国産青梅の梅干と、国産丸大豆・国産小麦・天日製塩の本醸造醤油を練り合わせた梅醤に、国産有機番茶粉末と国産生姜粉末を配合した品です。1袋に100mlほどのお湯を注ぐだけの手軽さ、、携帯に便利なスティックタイプ、生姜によるポカポカ効果に加え、手頃な価格も魅力的。冷えに悩む女性も多い昨今、一年中おすすめしたい品です。

光食品(徳島県板野郡上板町)

今月のFACE 生産者紹介

 光食品(徳島県板野郡上板町)

●顔の見える関係を大切に

トマトジュースや野菜ジュース、ソースやドレッシングでおなじみの光食品は、
現社長・島田光雅さんのお父さんの利雄さんが1946年、裸一貫で始めた会
社です。配給原料でソース作りを始め、何とか工場が軌道に乗り…やがて日
本はチクロ、サッカリンなど合成添加物全盛時代に。「体に悪いもん使わんと、
ええ材料で作りたい」。1964年、超特急新幹線ひかり号が開通した年、合成
添加物を一切使わない「超特級ヒカリソース」を世に出しました。
息子の光雅さんが大学を卒業して帰郷した1975年、「今度は無農薬、有機栽
培の原料を使いたい」と利雄さん。地元徳島を中心に生産者を探すのに2年を
かけ、ついに1977年、日本で最初の有機野菜・果実から作ったウスターソース
を製造発売しました。2000年2月には環境保全型の新工場を稼動。太陽光発電
を取り入れ、地下水にはリサイクルシステムを導入、食品残渣は堆肥にします。
有機畑を自分たちも体験したいという気持ちから、敷地内の自社畑でゆず、ゆこう、
玉ねぎなども栽培し、原料の一部として活用しています.

 

●「有機じんわ~りしょうが」誕生ストーリー

「最初の頃、生産者を探すのに苦労したでしょう。だから農家さんから『余ってるもの
がある』と聞くと、放っておけんのです」と島田さん。そのたびに商品アイテムが増え、
開発した品は50種類以上。どの品にも生産者とのストーリーがあります。2011年
初夏に発売した「有機じんわ~りしょうが」も、そんな品のひとつです.「焼肉のたれ」
や「麻婆の素」に使うしょうがは自社農園での有機栽培に加え、四国や九州の有機
生産者にもお願いして契約栽培しています。ところが今年1月~2月に掘り上げた
しょうがは、天候不順のせいか長期保存ができそうにない、とSOSが入りました。
そこで今秋デビューの予定を、急きょ初夏に繰り上げた由。畑の都合に合わせた
商品開発は、有機農産物の希少さを知る光食品にとって、ごく自然なことなのです。
「この品は、じつは娘の熱心なプッシュもあって…冷えに悩む若い女性にきっと受け
る、と進言されまして」と島田さん。長女の真妃さんは2007年に入社、販売課社員
としてお父さんと一緒に展示会などにも登場、光食品の商品の魅力を溌剌と伝えて
います。                                           

 

●一番人気の「アップルサイダー+レモン」

数あるドリンク類の中で、昨年デビューしてあっという間に人気商品となったのが「アップルサイダー+レモン」。従来品の「レモンサイダー」は果汁3%、「みかんサイダー+レモン」は果汁14%でしたが、この品は果汁85%以上、しかも砂糖などの糖類不使用です。最初はりんご果汁100%で試作しましたが、りんごの風味が強すぎて挫折。その後も試作を繰り返し、天然水を15%加えることでサイダーの爽やかさを実現しました。有機りんご果汁はその年の作柄や品種によって酸度が変わるため、レモン果汁を少々加えて調整し、後味すっきりと仕上げています。もちろんどのサイダーも香料・保存料・着色料・酸味料は不使用、原材料のフルーツは100%有機です。夏休みのお子さんに、安心して飲ませてあげてください。

倖梅(和歌山県日高郡みなべ町)

●無添加・伝統製法にこだわって

日本人には一番なじみ深い漬物のひと「梅干。よく熟した梅の果実を塩漬けして干したもので、長期の保存がきき、疲労回復のほか抗菌・防腐作用があります。
梅と塩、そして赤しそだけで漬けた伝統製法の梅干は、食養手当て法の中で用いられる「梅醤番茶」にも欠かせない食材です。

日本の伝統食の極みであり、正食でもよく使う梅干について、ムソーでは創業当初から一貫して無添加・伝統製法にこだわってきました。その間長くムソーの梅干を漬けてきたのが倖梅の桐本幸博さんです。戦後お父さんが梅の栽培と加工を始め、平成元年に幸博さんが倖梅を創業、昨年長男の雅史さんに社長業を譲りました。紀州南高梅の本場・みなべ町で梅干一筋に生きてきた職人肌のご一家です。

●木で完熟した梅を使用

「有機・梅干」の有機青梅と有機赤しその生産者は、奈良県西吉野で約20年前から有機栽培に取り組む「大和まごころ会」です。鶴田稔光さんと長男の英夫さん、仲間の仲間の熊代敬三さんの3名で有機梅を530アール(53反)、有機赤しそを80アール(8反)丹精して育てておられます。その他の梅干の青梅は和歌山県産の南高梅と小梅、しそは四国産です。
4月18日現在、樹上の梅の実はまだ小指ほどの大きさ。これから気温が上がり、ひと雨ごとにまろやかに玉太りしていきます。「品質の揃ったいい梅になるには、雨が多すぎても少なくても駄目。日照も必要だが蒸し暑いどんよりした日も欲しい」と、桐本さんは天をにらんで一喜一憂します。
6月中旬、収穫した梅が倖梅に届き、いよいよ梅仕事の始まりです。潰れにくく扱いやすいのは固い梅ですが、梅干にしておいしいのは完熟の梅。倖梅は梅産地にあるので、木で完熟した梅を仕入れることができます。

●「ええ塩梅」に漬ける職人技

まず青梅を品質や大きさで選別し、塩と梅を交互にタンクに入れるのですが、ここで梅の状態をみて塩の量を決めるのが難しいところ。干し上がりで塩分20%にするには、例えば多雨で水太りした梅なら塩を1~2%高めてやるという具合。「ええ塩梅(あんばい)に漬けるというのはいい言葉で、非常に奥深いのです。」梅に携わって37年、幸博さんは今もこう語ります。
上がってきた梅酢を汲み上げて循環させつつ約1ヶ月塩蔵した後、梅酢に沈んでいる梅を蒸篭に入れて出し、タンクの上の方の梅から順に干していきます。そしていわゆる土用干し、梅雨明けしてから3~4日干します。干した梅は白干しの状態で10kg樽に入れて熟成させ、注文がきたら水洗いして表面の塩分やゴミを除き、しそ液に約3週間漬け込みます(「マイルド15」はこの時に醸造酢と昆布エキスを加えます)。仕上げに1日ほど天日干しして完成です。

桐本家は一年中食卓に梅干を欠かしません。地元みなべの小学校では薄めた梅酢でうがいを励行し、風邪予防に役立てている由。身近で奥深い健康食品、梅干の良さを見直してみませんか。

冨貴食研(大阪府高槻市)

●有精卵で作るシンプルなマヨネーズ

身近な調味料のうち、マヨネーズは手作りしやすい品のひとつ。卵黄と酢の中に油を少しずつ垂らして混ぜると、とろ~りとマヨネーズになっていく不思議…子どもの頃、お母さんの手元を見つめた方もいるでしょう。

ムソーのロングセラー「有精卵マヨネーズ」は、そんなご家庭の手作りに近い味。厳選したシンプルな材料を使い、一切の食品添加物を使わず、少量生産を貫いています。

卵は、元気な鶏が産んだ有精卵。親鶏は日本国内で育種改良された純国産鶏「もみじ」で、褐色の殻の色から赤玉とも呼ばれます。1㎡あたり4.8羽で平飼いし、メス10羽に対してオス1羽の割合で混飼しているので、恋が生まれれば自然交配し、有精卵が得られます。

油は、オーストラリア産非遺伝子組み換え菜種を圧搾法で搾った一番搾りの菜種サラダ油を使用。酢は醸造酢にこだわり、内堀醸造のワインビネガーと米酢をブレンドして使用。ワインビネガーの個性的な香りとクセを、米酢がまろやかに調えるよう考え抜いたブレンドです。食塩は赤穂の天塩、砂糖は三温糖、香辛料はマスタード、セロリー、ナツメグ、コショウです。

●1個1個、自社で手割り

製造は、有精卵を全卵のまま仕入れ、殺菌のために食酢を薄めた水に浸して手で拭き、1個ずつ手で割るところから始まります。あらかじめ卵の中身だけの卵液を使うメーカーが多い中、鮮度と安全性を大切にする仕事ぶりに頭が下がります。

マヨネーズには粘度とコクがある卵黄タイプと、なめらかであっさりした全卵タイプがありますが、「有精卵マヨネーズ」は全卵6:卵黄4の割合です。「マヨネーズは卵黄レシチンの乳化作用で、酢の中に細かい油の粒を分散させたものです。有精卵マヨネーズは卵黄を加えて適度な粘度とコクを出しています」と商品開発担当の宮井絵理さん。

作り方も基本的にご家庭の手作りと同じですが、原料に油を混合する工程のみ、専用の乳化機を使います。真空状態で攪拌することで酢と油がきめ細かく混ざり合い、分離しにくい製品が生まれます。

●金ごま100%、香ばしい香りとコク

一般の乳化液状ドレッシングには食品添加物の乳化剤、分離液状ドレッシングには増粘剤が使われがちですが、「旬菜健美・胡麻ドレッシング」のとろ~りとした仕上がりは、マヨネーズと同様、卵黄レシチンによる乳化作用です。もちろん食品添加物は一切使っていません。

原材料はマヨネーズと同じ菜種サラダ油をベースに、丸大豆醤油、米酢、三温糖、ごま、卵黄、香辛料(マスタード)です。特にごまは味、香り、コクともに最高といわれるトルコ産の金ごまを100%使用。国内2社のごま専門店で鉄釜で芯からじっくり焙煎し、油が出ないようサラサラに摺ってもらっています。

「小さな会社ですから、どの品も本当に手作りに近く、充填も包装も手作業。作り手の心がこもったマヨネーズやドレッシングをご賞味ください」とメッセージをいただきました。

タキガワ菜種生産組合

●消えゆく日本の  菜の花畑

菜種はかつて日本各地の農村で栽培され、地元の搾油屋さんで炒って搾って菜種油となり、家庭の調理油として広く庶民に使われてきました。国産菜種の年間生産量は昭和30年代に約30万トンのピークを迎え、自給率は100%でした。

しかし1961年の大豆貿易自由化(油糧大豆輸入)、1971年に菜種輸入自由化で価格競争に負け、国内の菜種の作付け面積は急減。さらに、カナダを主生産地とするキャノーラ種は当時すでに低エルシン酸に品種改良されていましたが、日本在来種の菜種はエルシン酸含有量が多く、食用油として大量摂取すると心臓への負担が発生すると指摘されたことも逆風となりました。
近年の国産菜種の年間生産量は2千トン未満。自給率は0.04%に過ぎず、ほぼ全量をカナダやオーストラリアからの輸入に頼っているのが現状です。

●日本一の菜種の町  たきかわ

そんな中、地域ぐるみで菜種栽培に取り組み、栽培面積を増やしてきた町があります。北海道のほぼ中央部、石狩川と空知川に挟まれた平野部にある滝川市です。
滝川で菜種栽培が復活したきっかけは、1990年に東北農業試験場で開発された低エルシン酸の国産品種「キザキノナタネ」 です。積雪寒冷地でも越冬でき、収量も優れていたことから1992年、北海道の優良品種に認定されました。
たきかわナタネ生産組合の宮井誠一組合長(73才)は当時、こう説いて回りました。「研究者が苦労して開発したこの菜種を、我々は頑張って作らねばならん。そうすれば心ある消費者が必ず現れる」。1999年頃から次第に栽培面積が増え、2000年にナタネ生産組合が発足。2010年の菜種作付面積は187ha、単一市町村としては日本一です。

現在、58名のメンバーが畑作の輪作作物として菜種を栽培しています。宮井さんは小麦→菜種→小麦→大豆→ビート→小麦→という作付け。「菜種のあとの小麦はよく育ちます。油分豊富な茎葉を鋤き込むからでしょう」。8月下旬~9月上旬に種をまき、1週間ほどで出芽。冬の間は雪の下で越冬し、3月下旬から4月上旬の雪解け後に再び生長を始め、5月に黄色い菜の花を咲かせ、7月下旬頃から収穫します。
組合では栽培技術を学び合うほか、菜種の花が咲き揃う晩春には毎年「菜の花まつり」を開催。2011年2月、北海道開発局が地域活性化に貢献する活動をたたえる「わが村は美しく・北海道」運動第5回コンクールで、たきかわナタネ生産組合は景観部門で特別賞、地域特産部門で銅賞を受賞しました。

●日本初の国産菜種  サラダ油、誕生

2010年夏、滝川町の菜種生産者と、圧搾製油メーカー平田産業(福岡県朝倉市)、国産菜種油を拡販するムソーがともに手を取り、滝川産菜種100%の「国産なたね油」が発売されました。さらにこのたびムソーから発売する「国産なたねサラダ油」は、財団法人 日本油脂検査協会(2011年4月1日より公益財団法人日本油脂検査協会に名称変更)のJASに指定された認定工場から生まれた日本初の国産菜種使用の菜種サラダ油です(※)。
まず菜種を蒸して焙煎し、機械の圧力をかけるだけの圧搾一番搾りで搾油します。搾った原油に酸を加えてガム質などの不純物を沈殿させ、次に約70℃のお湯で8~10回湯洗いをし、水と油が分離する力を利用して不純物を取り除いたのが「国産なたね油」です。「国産なたねサラダ油」はこの後、白土と活性炭で脱色し、高温高真空状態で水蒸気を加えて脱臭します。
ムソーは今後、国産なたねサラダ油を使ったマヨネーズやドレッシングなどの開発も進めます。育てる人・搾る人・運ぶ人がスクラムを組んだ取り組みが、日本の農業を元気づけ、自給率アップの一助になればと願っています。