~永平寺の修行僧の朝食は~
炒った黒ごまと焼き塩を混ぜた「ごま塩」。お赤飯や幕の内弁当のごはんに振ってあるとちょっとうれしいけど、ふだんは忘れてる…かもしれません。でもこの「ごま塩」、とても大切な調味料なのです。曹洞宗の大本山 永平寺の修行僧の朝食は、おかゆと漬物と、たっぷりのごま塩。道元禅師が永平寺を開山した鎌倉時代からずっと変わっていません。ごまは、精進料理で不足しがちな脂質やたんぱく質を補ってきました。そのごまは、炒ってからよくすり潰して使うのがよい、とされています。ごまは殻が硬いので、粒のままでは消化吸収がよくないことを、道元禅師はご存知だったのでしょう。 厳しい修行に打ち込む修行僧の心身を、およそ800年間ささえてきた、おかゆとごま塩。流行りすたりに左右されない伝統食の重みを感じます。
~玄米食に欠かせない、正食のごま塩~
正食におけるごま塩は「食養」でもっとも重宝するもので、玄米の消化を助けるために、必ずひとさじ振って食する常備食です。正食の教えでは、「玄米の活力を最大限に引き出す」「カルシウムに富み、ホルモンバランスを整えて、解毒をしてくれる」「微量の栄養素が生命維持に働き、造血してくれる」「玄米に含まれるフィチン酸によるカルシウム流失を補填する」とされています。正食のごま塩は必ず、黒の洗いごまを炒ったものと、伝統海塩を炒ったものをすり合わせます。塩の微粉末の一粒一粒を、ごまが包んだ状態を「中に△(陽)を秘め、外を▽(陰)で包む」と表現します。心静かに姿勢を整えてすり鉢に向かうごま塩作りは、奥が深い手仕事です。
~ごま塩の良さを、お手軽に~
手作りが難しい方にも、ごま塩の良さを伝えるべく、ムソーは2012年8月に「有機ごま塩」を発売しました。ボリビア産の有機黒ごまを丹念に炒って丁寧にすり潰し、伊豆大島の伝統海塩を焼き塩にした「海の精やきしお」をブレンドした品です。正食のごま塩はごまと塩の割合が8:2ですが、この商品は「塩分控えめのごま塩がほしい」というご要望に応えて、塩分10%(重量比)のまろやかな味です。 一般のごま塩は、塩を顆粒に加工するための澱粉、充填性をよくするデキストリン、味を濃く感じさせる調味料(アミノ酸等)などが使われる場合がありますが、ムソーのごま塩は黒炒りごまと焼き塩のみ。正食の伝統を守り、すりごまを使っているので消化がよく、しっとりして、ごまの風味・香りが豊かです。