酢造りは酒造りから
「酢という文字は酉(酒)から乍(作る)と書くように、よい酢造りはよい酒造りから始まると私たちは考えています」と語るのは、明治9年創業のお酢屋さん、内堀醸造の内堀泰作さんです。
内堀醸造で酢を造る工程は、大きく3つに分かれます。まずはアルコール発酵による「酒造り」。米酢は原料米を精米して蒸して米麹を作り、純米酒と同じ仕込みを経て、酢にするための日本酒=酒のもろみを造ります。りんご酢はりんご果汁からアップルワインのもろみを造ります。厳選した原料を伝統的な手法で丁寧に仕込む、酒蔵の仕事がここに生きています。
菌との対話を大切に
次は酢酸発酵による「酢造り」。できあがった酒のもろみに酢酸菌を加え、アルコールを酢酸に変えていきます。内堀醸造では、おいしい酢を造る酢酸菌が最も活発に活動するよう、菌や温度をコントロールします。菌が育ちやすい環境かどうかコンピュータでチェックするなど、最新技術を積極的に取り入れることで、高品質のお酢を安定して造っています。
発酵の技術が進んでも、酒造りも酢造りもすべて微生物の活躍があってのもの。そして微生物が元気に活動するために欠かせないのが、水と空気です。内堀醸造は2006年、きれいな水と清い空気を求めて長野県飯島町にアルプス工場を新設。菌と対話しながら、万全の品質管理でその可能性を引き出しています。 できあがった酢はタンクで「熟成」されます。一般的に酢は熟成すればするほど色が濃く、まろやかな味わいになります。やさしい酸味、コクと旨みが増した「本造り米酢」「有機・玄米酢」「国産純りんご酢」は、こうして皆様のもとに届きます。
お酢をもっと身近に、手軽に
ムソーブランドの大ヒット商品「カンタン八芳酢」の協力工場も、内堀醸造です。ベースのお酢は、国産のお米から造った純米酢と、国産りんご果汁から造った純りんご酢をブレンド。米の甘みと旨みと重厚な香りに、りんごのフルーティーな風味を重ねて、幅広く和洋中の料理に合う酸味を作り出しました。
お酢のおいしさを支える「だし」にも徹底。利尻昆布とかつお枯れ節を使用し、一番だしを毎朝自社でとっています。ピュアな一番だしで割ってあるから、素材の持ち味を引き立てる、やわらかな酸味とまろやかな味わい。酢の物の器に残った八芳酢も、残さずおいしく飲んでいただけます。