深見梅店(和歌山県西牟婁郡上富田町)

この町を、いつかオーガニックの梅の郷に
深見優さん(39才)は創業1940年の梅干専門店「深見梅店」の四代目です。昔ながらの梅干だけでなく、時代やお客様の嗜好に合わせた製品作りに積極的に取り組んでいます。2009年からは自社農園で有機梅の栽培も始めました。
深見さんの有機梅園は、熊野古道の玄関口、人里離れた山頂に近い斜面にあります。「ここなら周囲から農薬飛散の心配もない」。自家採種で健康な苗木を育て、定植以降は化学肥料はもちろん、有機肥料も使いません。農薬を一切使わない梅園に、大きなクモやムカデも、近所の幼稚園児も遊びにきます。「生まれ育ったこの町が、いつかオーガニックの梅の郷になることを夢見ています」。
この夢を実現すべく、現在95アールある自社の有機梅園は、より効率よく収穫できるように改植中。有機梅を栽培する仲間を1人でも増やそうと周囲に声をかけ、大きなグループひとつと個人農家3軒が仲間に入りました。有機赤しその契約栽培農家も増やし、自社農園での栽培も視野に入れています。

伝統製法の梅干を国内へ、世界へ

「食べる人にも、栽培する人にも、環境にもやさしい梅を残したい」という深見さんの思いに共感し、その高い技術を評価して、ムソーは「有機・梅干」のしそ漬と「有機梅酢」の加工を委託。伝統製法で仕上げたムソーの「塩味控えめ梅干」も、栽培から加工まで深見梅店の一貫生産です。

さらに2023年夏にはムソー食品工業が、奈良市月ヶ瀬から深見梅店の隣へ移転。無双本舗ブランドの梅醤エキスや鉄火みそなどの製造も深見さんが引き受けるべく研修中です。

日本の伝統食の極みであり、正食でもよく使う梅干について、ムソーでは創業当初から一貫して無添加・伝統製法にこだわってきました。今後は深見さんの有機梅アイテムを、ムソーは国内へ、むそう商事は海外へ、新商品も含めて拡販していきます。

生梅の直送にも初挑戦
2月末に白い花が咲き、3月末に小指の先ほどだった青い実は、ひと雨ごとにまろやかに玉太りしていきます。「今年は開花もよかったので、去年に続いて豊作かも」。梅の実が樹上で完熟する6月、有機赤しそも収穫期を迎えます。
今シーズンは、深見さんの産地直送「有機・和歌山県産南高梅(梅酒用)」がムソー初登場、来年は梅干用の有機南高梅の直送にも挑戦したい由。幅広く使える「有機梅フレーク」「有機しそフレーク」も新登場です。ぜひお試しください。

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