上沖産業(宮崎県北諸県郡三股町)

~昔ながらのらっきょうが恋しい~
初夏を迎える頃、八百屋さんで量り売りしていた泥付きらっきょう。洗って土を落として根元と先を切り、揉み洗いして薄皮を取り、いったん塩漬けして保存。それから甘酢漬けにして一年中食べていました。40年ほど前までは、どこの家庭でも作る保存食でしたが、土を落とすところから始まる手仕事が敬遠され、らっきょう漬も買ってくるものになりました。
「同じ買うなら漬物のプロが漬けた、飛び切りおいしいらっきょうが食べたい」「添加物を使わない、昔ながらのらっきょうが恋しい」方に、おすすめの品があります。
上沖産業は、地元の契約農家から仕入れた農産物を活かす漬物屋さんです。モットーは「農業を通して地域の活性化に貢献し、農業と共に発展を目指す」。らっきょうの契約農家は都城盆地の15軒です。

~乳酸発酵により、じっくり熟成~
都城の畑は火山噴火で生まれたシラス台地ゆえ水はけがよく、肥沃な黒ボク土と盆地特有の寒暖差もあって、玉締まりのいいらっきょうが育ちます。陰干した種球を9月から10月に植付けて、翌年6月から7月の晴天の続くときに手作業で収穫します。
泥付きらっきょうは鮮度が命。芽が出ると歯切れが悪くなるので、収穫後すぐに工場に受け入れて土を洗い上げ、根と茎がついたまま重石をして1年分(約600トン)を低塩で塩漬けします。塩漬けらっきょうは、天然の乳酸菌で乳酸発酵し始めます。
ここで大事なのが発酵管理。低塩・低温でじっくり熟成することで、旬のらっきょうに近いカリッとした歯触りと香りを最大限に残します。

~両切りは、近隣のおばあちゃんたち~
次の工程「両切り」を担うのは、近隣の農家のおばあちゃんたち。一粒一粒、手作業で茎と根の部分を切り落として形を整えて薄皮をむく、機械ではできない仕事です。最高齢の方は80代後半。「内職代わりになり、張り合いもある」と喜んでおられる由。国産らっきょうでも塩蔵品をベトナムに運んで両切りを委託するメーカーがほとんどの中、地域が潤う方法を選んでいます。
両切りしたらっきょうは毎日工場に集めて選別し、3日かけてゆっくり脱塩してから、15日ほど下漬けして製品化します。下漬け液の米酢は、鹿児島県福山町の壺仕込みの米酢。食塩は天日塩を溶解し、平釜で炊きなおした塩です。
「甘らっきょう」は、沖縄のさとうきびを原料に精製を控えて作った国産きび砂糖を使用し、風味豊かに色目も濃く仕上げます。新商品「ピリ辛らっきょう」は、九州産唐辛子のピリっとした辛みが引き立つよう、北海道産ビートグラニュー糖を使って色白美人に仕上げます。原材料は、大粒のらっきょうと上記の漬け原料だけ。らっきょう本来の風味と歯切れをお楽しみください。

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