出雲国 飯梨郷の地酒蔵
安来市広瀬は島根県東部の町。歴史は古く、8世紀に編纂された出雲国風土記に「出雲国 飯梨郷(いずものくに いいなしごう)」の地名が残ります。青砥酒造は1895年(明治28年)創業、こだわりの純米酒「蒼斗七星」で知られる地酒蔵です。「酒が人を造り、人が酒を造る」という言葉を心に、上質な日本酒を伝えています。原料米は地元島根県産。仕込み水は超軟水です。四代目の青砥幹彦さん(72歳)は25年にわたって蔵元(酒蔵の経営者)と杜氏(酒造の現場を仕切る責任者)を兼任。昔ながらの手造りに原点回帰し、12年前からは、すべてのお酒を木槽(きぶね)搾りに切り替えました。木槽搾りとは、もろみを詰めた酒袋を積み重ね、上から圧力をかける搾り方で、「やぶた」という大型機械で搾った酒に比べると雑味が少なく、柔らかい酒質になります。酒袋に残る酒粕も、木槽のほうがお酒たっぷりで柔らかく香り高いのです。この木槽搾りの純米酒の酒粕をチョコレートと合わせた「香る酒粕チョコ」は、ムソーのバレンタイン企画の人気商品です。
島根県産特別栽培米100%
青砥酒造は飲んで愉しむお酒はもちろん、調味料としての料理酒にも定評があります。ムソーの「みやこの料理酒」は、2015年1月から青砥酒造で仕込んでいただいています。料理酒の原料米は島根県産特別栽培米100%。品種はきぬむすめ、コシヒカリ、つや姫など、うるち米の飯米(はんまい)です。酒米(さかまい)を使用せず飯米を使う理由をお訊きしました。 「酒米は日本酒造りに好適ですが、食味は粘りがなく淡泊な味わいです。料理酒には、旨みがある飯米のほうが向いています。また、調味料として毎日使っていただくには価格も大事なので、飯米を使って原価を下げ、その分、高価格の塩『海の精』を使用しています」と蔵元。この原料米を、お酒にしたとき雑味が出ないよう精米します。「今シーズンは特別純米酒並みに66%まで贅沢に磨きました」とのこと。
純米酒に「海の精」を2%添加
米と米麹だけを原料に、純米酒と同じ製法で仕込んでいきます。一般的な日本酒のもろみ造りは三段仕込み(蒸米と米麹を3回に分けて仕込む)ですが、「みやこの料理酒」は三段仕込みが終わったもろみにさらに蒸米を加える四段仕込みによって、旨みとまろやかな風味を醸します。もろみを木槽で搾る直前に伝統海塩「海の精」を2%加えることで酒税法上の酒類に該当しなくなり、酒類販売免許を持たないお店様での販売も可能です。原料米と造りの技によって、「みやこの料理酒」は通常の清酒の約2倍(青砥酒造比)の旨みを含みます。毎日のお料理にお使いください。