ブランドマネージャー 前田けいこさんに訊く
~1995年、ブランド誕生まで~
私は母から「下着は綿(めん)に限るよ。夏は涼しくて冬は温かい。静電気でパチパチしないし、何より肌がチカチカしない」と聞かされて育ちました。言葉は素朴ですが、コットンの本質を教わったと思います。そんな自然なイメージのコットンの栽培に世界中で大量の農薬や化学肥料が使われ、糸や布にする工程でも化学薬剤が多用されている、と知った時の衝撃。生産地の環境を汚染し、農家を経済的に追い詰め、児童労働に依存する“ナチュラルなコットン”って…知るほどに熱量が高まり、自分たちがやらなきゃ!と思ったのです。1995年、純オーガニックコットンの専門ブランドとしてメイド・イン・アースが誕生。素肌に毎日触れるものを優先してタオルからスタートし、衣類、下着、ソックス、寝具などへ展開してきました。
~栽培から製造まで「天然」を大切に~
「純オーガニックコットン」の「純」は、栽培だけでなく糸、生地、製品化の過程でも有害な化学薬剤を使用しないものづくりを表現しています。原綿は、第三者認証機関によって認証されたオーガニックコットンを100%使用。世界のコットン栽培量のうち1.4%しかないオーガニックコットンを、アメリカ、ペルー、タンザニア、インドなどから輸入して使用します。コットンには本来、天然の撚り(繊維の間に空気をたっぷり含む)、中空構造(吸湿性・吸水性、温かい)、天然油分によるコーティング(肌ざわりがいい、つやがある、しなやか)という特長があります。こうした良さを活かすには、コットンにダメージを与えず加工することが大切。私たちは製造段階でも独自の基準を設け、化学薬剤による脱脂、脱色、防縮加工、柔軟加工をせずに、コットン本来のやわらかく温かな風合いを残しています。メイド・イン・アース製品は紡績から編み、織り、洗い、縫製まで国内です。「縫製にもオーガニックコットンの糸を使う」「化学のりの代わりに無のりにしたり、みつろうを使う」など、効率化の逆をいく私たちの要望に高い技術で応えてくださる協力工場の方々に感謝です。
~布ナプキンという選択~
布ナプキンを作り始めたのは1999年、お客様からの電話がきっかけでした。「使い捨てナプキンはかぶれたりムレたり痛みが出るので、オーガニックの生地で手作りしている。ぜひ製品化してください」とのこと。布ナプキンの存在を知らなかった私たちは驚き、すべての子どもたちや女性の健康のために製品化を決意しました。素材も吸収体も羽も縫い糸も、すべて純オーガニック100%の布ナプキン。生理期間だけでなく、冷え対策、おりもの対策、軽い尿漏れなど日頃から幅広い年齢層のご愛用者さんがいます。オーガニックコットンのふわふわに魅せられてブランドを立ち上げ、来年で30年になります。コットンという植物は、本当に私たちを元気に健康に心地よくしてくれます。これからもオーガニックコットンの良さがたっぷり残った最高の製品を作っていきたいと思います。