昨年は格別の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
2023年は不自由な環境からようやく抜け出した年となりました。4年ほどの間に、この環境に慣れてしまったという感覚ではないでしょうか。2020年の1月に国内で初めての新型コロナウイルス感染者が確認され、季節ごとに感染者の増減を繰り返し、ようやく2023年の5月から感染症法上で5類に移行されました。
新聞やニュースで感染者の「数」を目にすることがなくなった反面、生活環境下での人流の「数」は劇的に増えたことは皆さんも体感されたことと思います。私たち日本で暮らす生活者は規律的、同調的な面を持ちながら変動も好む傾向なのかもしれません。
1年を振り返りますと「利害」がどうしても目に留まってしまう事象が多くありました。米中の対立関係をはじめ、ウクライナとロシアの長引く紛争や、他国でも様々な争いが絶えません。経済成長と環境保全におきましても双方からは利害が生まれ、対峙する相互関係でもあります。全ての社会で相対する利害がなくなることはありませんが、私たちの身近な生活下で水と食べものを争奪する争いだけは避けなければなりませんし、先ず平和である状態を願いたいと思います。
また環境保全面から見ますと、脱炭素社会への転換や地球温暖化の課題はもちろんのこと、限られたエネルギー資源の中でこれから将来に向けてどのようにして持続可能な環境をつくっていくのかが大変大きなテーマとなります。微力ながら弊社は「食」を通じてその一翼を担っていきたいと思います。
具体的には穀物を主に有機認証農作物(転換期間中を含めて)の生産支援と、その原材料を使用した加工食品の開発・販売強化です。環境と食糧の課題解決には循環型有機農業と国内食料自給率アップが欠かせません。食材(商品)の提供だけに留まらず、その食材の食べ方や料理方法、食材・商品の背景と価値情報のご提供にも努めていきたいと思います。
食品業界の中でも健康志向が追い風となったこの4年弱でしたが、向かい風も多く生まれています。非遺伝子組み換え表示の改定が施行され、2024年4月からは無添加表示の規制も始まります。私たちが取り組んできた差別化表現や、付加価値の表現ができにくくなる中、可能な限り積極的な表記と情報をお伝えできますよう取り組んでまいります。また任意表示のゲノム編集食品は水産物をはじめ、食品の広い分野で研究・開発・流通が進んでいます。ゲノム編集技術を全て否定する訳ではありませんが、食はもちろん、医療分野であっても、「選択」できる権利こそ大切であることを根底に置きながら、ムソーの商品指針に沿って扱い商品の充実と開発に努めます。
皆様への商品供給に関わる逆風としては「2024年物流問題」。これまでの国内物流サービス自体がそもそも“過剰”であり、物流サービスに関わる事業者の負荷が大きすぎたように思います。生産から加工、流通、小売りまでの商流において、全てを底支えするのが物流です。4月以降、物流問題によりどのような影響が生じるかは未知数ですが、皆様にベストな状態で商品をお届けるというムソーの使命を果たすべく全力で取り組んでまいります。
目まぐるしいスピード感とグローバル化、そして生産性と効率化が重視される時代環境ですが、時間軸に囚われすぎず、よりローカルな視点を持ち、商品・情報・サービスをご提供しながら事業を行い、皆様のお役に立てるように社員一同邁進いたします。
2024年が皆様にとって素晴らしい1年でありますように祈念いたしますとともに、変わらずご愛顧、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして年頭のご挨拶とさせていただきます。
ムソー株式会社
代表取締役 出口 裕起