イー・有機生活(東京都千代田区)

農家が集まって作った会社
2000年7月、環境に負荷をかけない農業に早くから取り組んできた生産農家が全国から集まり、 「株式会社イー・有機生活」を作りました。生鮮野菜と果物は、さんぶ野菜ネットワーク(千葉県)、沃土会(埼玉県)、王隠堂農園(奈良県)、無茶々園(愛媛県)など、有機・特別栽培の生産者集団をネットワークして販売中です。加工品作りは2002年、さんぶ野菜ネットワークの有機人参を使用したトロトロ食感の人参ジュースから始めました。このジュースのヒットに力を得て2019年、加工食品のブランド「なちゅらる生活」が誕生。「なちゅらる生活」は素材にこだわり(可能な限り国産、生産地が明確、トレーサビリティーが信頼できる)、添加物を可能な限り使用しません。近年はフリーズドライのスープなど加工度の高い品に力を入れてきましたが、「我々の原点は野菜。国産の旬の野菜でチップスを作ろう」と決意し、「野菜サクッチ」の開発に取り組んだそうです。

熟成させた蜜芋「べにはるか」使用
ここ数年のさつまいもブームはご存知の通り。特に、ねっとりと甘い新品種「べにはるか」の登場以来、干し芋の人気が急上昇ですが供給が追いつかず、ムソー取り扱いの干し芋も休止が相次ぎ、ご迷惑をおかけしています。「通年安定してお届けできる高品質の干し芋」を探したところ、なちゅらる生活の「熟成蜜芋・きらぼし」に行きつきました。原材料は国産(主に茨城県産)べにはるかです。生産者は原料芋を収穫後すぐにキュアリング処理(※)し、その後、デンプンが糖に変化し甘味が増すよう、温度13~16℃、湿度90%の保管庫でじっくり貯蔵します。こうして、しっかり糖化させた原料芋を“熟成蜜芋”とイー・有機生活では呼んでいます。この“熟成蜜芋”を干し芋の本場・茨城県の2社(もったいねーべ株式会社、あかつき工房)に渡し「熟成蜜芋・きらぼし」に仕上げていきます。

※キュアリング処理…温度30~35℃、湿度90~95%で約4~5日程度保管し、収穫時についた傷口にコルク層を作り、腐敗を防いで長期保管するための処置。生産者によってはその年の原料芋の収穫時の状況でキュアリング処理をしない場合もあります。

しっとり、やわらかな仕上げの秘密
甘味を増したべにはるかを洗って蒸し、皮をむいてスライスし、いよいよ乾燥にかかります。かつて干し芋は天日干しが主流でしたが、どうしても味や食感にばらつきが出ることと、気候変動の影響もあって、徐々に機械乾燥へと変わってきました。機械乾燥にもいろいろあって、従来の高温乾燥法には色があせる、味や香りが減る、硬くなるという欠点がありました。そこで、熟成蜜芋・きらぼしには「定(低)温減圧乾燥」を採用。定(低)温減圧乾燥は、一定の温度を保持し、乾燥器内の圧力を下げ(減圧)、短い時間で均一に乾燥させる独自技術です。乾燥に必要な温度を下げ、比較的短時間で乾燥させることで、①高温による変色を防ぎ、さつま芋本来の色もきれいに残る②減圧の効果でさつまいも内部まで均一に乾燥され、旨味が凝縮される、という“干し芋の夢”を実現したのが、熟成蜜芋・きらぼしなのです。

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