大和まごころ会(奈良県五條市)/深見梅店(和歌山県西牟婁郡)

日本の伝統食の極み
日本人には一番なじみ深い漬物のひとつ「梅干」。よく熟した梅の果実を塩漬けして干ししたもので、長期の保存がきき、疲労回復のほか抗菌・防腐作用があります。梅と塩、そして赤しそだけで漬けた伝統製法の梅干は、食養手当て法の中で用いられる「梅醤番茶」にも欠かせない食材です。日本の伝統食の極みであり、正食でもよく使う梅干について、ムソーでは創業当初から一貫して無添加・伝統製法にこだわってきました。

木で完熟した有機梅を使用
「有機・梅干」の有機梅と有機赤しその生産者は、奈良県西吉野で約35年前から有機栽培に取り組む「大和まごころ会」です。熊代敬三さん(57才)と甥の向井靖典さん(33才)、鶴田秀夫さん(40才)と父の稔光さん(70才)の4名で、有機梅を530アール、有機赤しそを50アール栽培しています。有機梅の梅園は、周囲から農薬飛散の心配がなく、日当たりと水はけがいい山の斜面にあります。品種は南高(なんこう)、白加賀、鶯宿など。2月中旬に白い花が咲き、3月末に小指の先ほどだった青い実は、ひと雨ごとにまろやかに玉太りしていきます。梅干にしておいしいのは完熟の梅。6月10日過ぎから7月中旬、樹上で完熟した梅の実が自然に落下するのをネットで受け、陽射しで傷まないよう朝一番に拾い集めます。すぐに選別して、梅と塩(シママース)を交互に入れ、約1ヶ月塩蔵した後、梅酢に沈んでいる梅を出し、3~4日天日干しして「白干し梅」の出来上がりです。「完熟梅を漬けることで皮が薄く、ふっくらした梅干ができます」と熊代さん。

無添加で、しそ漬梅干に仕上げる
ここから先は深見梅店の仕事です。有機白干し梅と、同じく大和まごころ会が栽培加工した有機もみしそ、有機梅酢を受け入れて、注文がきたら水洗いして表面の異物を除き、しそ液に約2週間漬け込んで「有機・梅干」の完成です。深見梅店は創業1940年の梅干専門店です。2009年からは自社農園で有機梅やしその栽培も開始。四代目の深見優さん(37才)は昔ながらの梅干だけでなく、時代やお客様の嗜好に合わせた製品作りに積極的に取り組んでいます。当面深見さんにお願いするのは、「有機・梅干」と「有機梅酢」の加工ですが、いずれいろいろな梅製品(低塩梅干やおやつっぽい梅など)を一緒に作っていきたいと考えています。

前のページへ 次のページへ
2021年5月号へもどる