有機バナナには、産地ごとに物語があります。例えば「スィートオーガニック」は、フィリピン・ミンダナオ島の海抜600~900mの高地で、村の小規模生産者たちが自立した生活を送るため、自分たちの土地を大切に守るバナナ作りに励んでいます。エクアドルの「スィートバレリー」も、コロンビアの「サンタマルタ」も、環境に配慮した畑で、バナナ生産労働者の暮らしを守りつつ栽培しています。害虫の上陸を防ぐため、バナナは未成熟な青い状態で輸入することが植物防疫法で義務付けられています。植物検疫で病害虫が見つかった場合は、燻蒸処理(密閉倉庫の中で農薬を燻蒸して虫を死滅させる)が行なわれますが、燻蒸の有無は表示義務がないので、店頭では見分けられません。手間と愛情を込めて有機栽培したバナナも、万一燻蒸されると有機JAS認証が受けられなくなり、一般のバナナとして流通することになります。逆に言えば、バナナの有機JASマークは、ポストハーベスト農薬はもちろん、燻蒸処理もされていない証です。 植物検疫をパスした青バナナは、専門業者の室(ムロ)で黄色く追熟して出荷します。酸味が好きな方はお早めに、甘みと香りを楽しみたい方は、皮に茶色い斑点(シュガースポット)が出たら食べ頃です。