西川卓治さん(沖縄県宮古島)

沖縄のピーマンやいんげんは、冬の今が旬。温暖な気候を利用して栽培する“日本一早い夏野菜”が、端境期の本土の食卓を、いきいきと彩ってくれます。西川卓治さん(51才)は関西出身で、若い時に世界中を旅した後、有機農業を志して沖縄へ移住。最初に弟子入りしたのが、宮古島で長年、持続可能な農業に取り組んできた渡真利(とまり)貞光さんの農場でした。宮古島では2000年に待望の地下ダムが完成し、長年の水不足が解消されましたが、農家が使う化学肥料が地下へ浸透し、硝酸態窒素が増えて地下水を汚染。人々の飲料水でもある地下水を守るために渡真利さんは、化学肥料に依存しない土作りを考案し、島の農家に広めてきました。そんな師匠の薫陶を受けた西川さんは、宮古島出身の真衣子さんと結婚。兼業農家でサトウキビを作っていた義父から土地を購入して、秋・冬・春メインのハウス栽培のピーマンとミニトマトを皮切りに、有機農業を始めました。夏は暑さと台風で野菜を育てられませんが、秋から春は南国の強い太陽がハウスを照らし、加温しなくてもパワフルでおいしい野菜が育つのです。
12月中旬から少量ですが、自根で栽培している有機きゅうりがスタートできました。2月から、有機アイコ(長卵系ミニトマト)と有機ピーマン、有機いんげんの出荷が本格稼働します。さらに今年から周年で、有機栽培の貴重なアスパラガスもお届けできそうです。

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