沓掛冷食(長野県小県郡青木村)

信州の小さな村から全国へ
青木村は長野県の東部・上田市の西に位置する農山村です。面積の約8割が山林で、三方を美しい山々に囲まれています。沓掛冷食の創業は1970年、現会長の沓掛芳明さん(94歳)が台湾の料理人の手ほどきを受け、当時珍しかった冷凍春巻を作り始めました。「当時は春巻の皮をクレープのように手焼きしていて、それをおやつに育ちました」と笑うのは、専務の小林久美子さんです。
 小麦粉と食塩だけで手作りした“小麦の味がする皮がおいしい春巻”が評判になり、次に久美子さんが思い立ったのが“ホワイトソースが主役のグラタン”でした。「グラタンを選んだ理由?私の得意料理だったから」。最初は家庭の味そのものでルーが固かったりしましたが、開発に5年を費やして1999年、今のホワイトソースが完成しました。
 創業以来、無添加かつ国産素材の使用にこだわり続け、現在は学校給食や生協向けの春巻とグラタンを手作りしています。ムソーでは定番の春巻と、クリスマス企画のグラタンでおなじみです。

主役は手作りホワイトソース
新商品「有機ブロッコリーと有機ペンネのえびグラタン」は、食事の一品やおやつに適した少し小さいサイズのグラタンです。具材の華やかさに目を奪われそうですが、主役はあくまでもホワイトソース。作り方を教えてもらいました。
 国産玉ねぎをよつ葉乳業のバターで炒めたところへ調味料を混ぜ、火を止めて国産小麦粉を振り入れて、余熱で焦げないように加熱します。次に八ヶ岳乳業の牛乳を少しずつ加えながら弱火にかけ、ダマにならないように混ぜながら中火で1時間、とろみが出るまで煮込みます。これ全て直火窯で手作業…昭和の台所ですね。「家庭の手作りから立ち上げたからレシピも素朴でしょう、でも脱脂粉乳などを使ったものとはクリーミーさが違うし、雑味がないのが自慢です」。

クリーミーな愛情を、アツアツで
具材の仕込みで特に気を遣うのは、有機ペンネマカロニの茹で具合。ご家庭で加熱した時に最もおいしくなるよう引き算して、食感が残るように少量ずつ茹で、冷水で締めます。有機ブロッコリーと海老も湯通しします。
 紙カップにペンネと具材を入れてホワイトソースをかけ、よつ葉のナチュラルチーズをトッピングして急速冷凍。ひとつひとつ手で盛付けた小さなグラタンに、クリーミーな愛情が詰まっています。電子レンジで加熱した後、オーブントースターで焦げ目をつけると一層おいしく召し上がれます。

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