フロムファーイースト(大阪市中央区)

毎日誰もが使うもので世界を変える
「みんなでみらいを」を展開するフロムファーイースト(株)の代表・阪口竜也さんは、大量生産・大量消費を前提とし、経済発展に伴い環境破壊がすすむ世界を変えたいと考えていました。「人間は消費をすればするほどこの地球を破壊している。とはいえ、消費をやめることは不可能だ。ならば、新しい消費の仕組みを作れないか。誰でも簡単に社会貢献できるしくみを。」(阪口竜也著「世界は自分一人から変えられる」大和書房より引用)そうしてたどり着いた答えは、毎日誰もが使い、そして使えば使うほど環境が改善するものを作り出すこと。「みんなでみらいを」の商品開発はこうして始まりました。

与論島を高品質ヘナの産地に
鹿児島県最南端の与論島は、奄美群島の中で最も沖縄に近い、亜熱帯性気候の島です。フロムファーイーストの海水を使った化粧水(※)の原料は、この島の海水を濃縮したものです。主な産業はサトウキビ栽培ですが、背が高く重たいサトウキビの収穫は重労働。農家の高齢化によって、栽培がだんだん難しくなり、耕作放棄地が広がっていると聞いて、高齢になっても作業できる何か新しい農作物はないか、と地元の方たちと話し合い、ヘナを育てて天然白髪染めとして商品化することにしました。ヘナ栽培と加工をこれからの主産業とし、地域を活性化する作戦です。「低木のヘナなら我々にも収穫できそう」と、地元のおじいちゃんたちと世代と距離を超えたプロジェクトが始動しました。

選別・加工まで島で一貫生産
与論島のヘナは露天の畑でのオーガニック栽培です。島では仔牛の繁殖も盛んなので、堆肥センターで完熟させた牛ふん堆肥を畑に返して地域循環。無農薬栽培は豊かな自然を守ることにもつながります。収穫は年に4回。茎ごと手刈りして洗浄し、温風乾燥した後、手作業で丁寧に葉と茎を選別し、葉だけをパウダーに加工します。茎や砂などの不純物を細かく除去するジャパンクオリティによって、染まりがいい高品質のヘナが生まれます。「ヘナのハードルを下げるべく、商品デザインも工夫しました」と阪口さん。買ってすぐ染められるように、カップの中に必要なものが全て入っています。脱プラスチックを意識して、カップとフタは紙製(テイクアウト用コーヒーの容器)、マドラーは木製(アイスキャンデーのスティック)です。

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