旭屋製菓(大阪市平野区)

夏に人気のあの品を、ムソーブランドで
「チューチュー」「ポッキンアイス」「棒アイス」…懐かしいこの品、子どもの頃、何て呼んでいましたか?40年ほど前は駄菓子屋さんの人気者、近年は量販店でも定番の品です。 冷凍庫で凍らせてチューチュー、冷やしてそのままゴクゴク。昔も今も子どもたちが大好きなこの品を、安心安全な原材料だけを使って、ムソーブランドで作りたい!と準備を始めたのが約2年前。ポリエチレン詰清涼飲料(これが正式名称)は中小メーカー10社ほどが製造していますが、ムソーブランドのこだわりを理解してくれるメーカーさんとは、なかなか出会えませんでした。そんな中、「やってみましょう」と手を挙げてくれたのが旭屋製菓です。1952年に甘納豆屋として創業。二代目の小柄正雄さん(71才)が社長、息子の順平さん(45才)が営業、靖憲さん(42才)が工場長を担当する家族経営です。「甘納豆は冬場しか動かないので、何か夏向きの商品を、と1975年からチューチューの製造を始めたと聞いています」と靖憲さんが話してくれました。

有機濃縮果汁と、てんさい糖だけを使用
開発にあたって大切にしたのは、原材料のシンプルさです。「りんご」は、アルゼンチン産の有機りんご濃縮果汁を使用。「ぶどう」は、アルゼンチン産白ぶどうとアメリカ産コンコードグレープの有機ぶどう濃縮果汁を1:1の割合で使用します。赤ぶどうの渋みを白ぶどうの甘みで和らげて、小さいお子さんも喜ぶ味に。さらに「りんご」にも「ぶどう」にも、スペイン産有機濃縮レモン果汁をほんの少し加えて、さわやかな風味を添えます。濃縮果汁は、搾った果汁から一度水分を抜いた状態なので、水を加えて元の濃度に戻し、果汁100%の濃縮還元ジュースとして使用します。甘味料のチョイスも重要です。一般品によく使われる果糖ぶどう糖液糖は、原料トウモロコシに遺伝子組み換えの心配があり、ムソーでは使いたくありません。代わりに北海道産てんさい糖を使用して、さっぱりした甘さを目指しました。

素材がよければ、香料は要らない
「果実でちゅーちゅー」の原材料は、有機濃縮果汁とてんさい糖だけ。香料や着色料を使用していないため、安心してフルーツ本来の味が楽しめます。試作を重ねる中で、工場長が驚いたのは、この原材料なら、香料を入れなくても風味豊かなこと。「ほぼ香料で味が決まると思っていたので…素材の大切さを改めて知りました。他社さんの受託製造もしていますが、ここまでこだわったOEMは初めてです」と靖憲さん。製造工程は、計量・調合した原料をパスチャライザーで煮溶かしながら熱殺菌し、1本ずつ容器に充填して口を締め、滅菌器で湯通し(芯温80℃以上30分)し、カゴに上げて冷却してから包装します。とくに果汁を使用した常温流通の品は、出荷後に発酵などが発生しないよう、保存料の使用が一般的ですが、「果実でちゅーちゅー」は保存料も不使用です。

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