”身土不二“国内産、季節の味を大切に

 人間は肉食動物ではありません。肉の好きな人たちも、たいていは「ごはんや野菜をしっかり食べなきゃ」と思っています。では、食べものは何をどれだけ食べるのが理想なのでしょうか。答えは、わたしたちの口のなかにあります。
 ヒトの歯は全部で32本。多い順に、臼歯(20本)、門歯(8本)、犬歯(4本)に分けられます。臼歯は、かたい穀物をすりつぶすための歯、門歯は野菜や果物を切るための歯、犬歯は肉や魚を食いちぎるための歯です。ということは、人間は穀物を主食として、野菜を中心にした副食という食生活が理想、といえます。
 食事が肉食に傾くと、脂肪やコレステロールが増えて不健康になりがちです。アメリカではそうした反省から、保健医療費の増加に歯止めをかけようと、30年近くもまえに、動物性の食品や砂糖の摂取を減らし、とくに精白しない穀物や野菜、果物の消費を増やすといった食事に改めようと政府が呼びかけました。そのとき理想とされた低脂肪・低カロリーの食事というのは、なんと伝統的な日本食でした。日本食はそれ以降、ヘルシーな料理として、アメリカ人に広く親しまれるようになりました。
 「穀物と野菜が中心の食事ではタンパク質やカルシウムが補えないのでは」と思われがちですが、玄米や豆類などには良質のタンパク質やカルシウムがたくさん含まれています。

”よく噛む“   おてがるダイエット

いくら身体によいものでも、肥満になりやすい食べすぎは控えたいものです。食事を始めて満腹感を感じるまでには20分前後かかるといわれますが、一口30回以上を目安にゆっくりよく噛むことで、食べすぎが抑えられます。よく噛むことの効用はほかにもたくさんあります。消化吸収を高めて胃腸への負担が減らせる▽あごの発達をうながして歯並びをよくし、虫歯や歯周病などが防げる▽あごのポンプ作用により脳の血流を増し、記憶力アップや痴呆予防を助ける▽だ液をよく混ぜ合わせることで、食べものに含まれる添加物などの化学物質の毒性(発ガン性など)を低下させる―など。とくに穀物や野菜は、よく噛んでこそ、滋味があふれ、こころまで落ち着いてきます。

”感謝の心“   「いただきます」「ごちそうさま」

モノがあふれ、ほしいものが次々と出てくる現代です。食べものもいろいろあり、好きなものが好きなだけ食べられるようになりました。それほど豊かな社会ですが、一方では環境破壊や病気など、マイナス面の問題もかかえています。当たり前のことですが、食べものはすべていのちです。いのちが生まれ、育ち、収穫されて家庭の食卓にのぼるまでの長い営みとその間に費やされた尊い労力を考えれば、食べものは粗末にできません。感謝や祈りの心は、自律神経の副交感神経を優位にして、消化管機能を高め、食物の消化吸収がよくなるともいわれます。食べもののいのちによってわたしたちのいのちが生かされていることを思い、よく噛みしめましょう。