身土不二・一物全体

”身土不二“   国内産、季節の味を大切に

昔は「三里(四里)四方のものを食べていれば長生きできる」といわれていました。ところが今はどうでしょう。細長い日本列島のあちこちからはもちろん、地球の裏側からまで、はるばる運ばれてきた食べものたちが、わたしたちの胃袋を支えています。しかし、遠くなればなるほど、食べものが生産されてわたしたちの口に入るまでには時間がかかってしまいます。そのため、輸入生鮮食品には、鮮度を保ったり腐らせないよう、収穫後にもう一度、農薬を散布するポストハーベストによる残留農薬のほか、添加物などの問題が指摘されています。できるだけ国内産の食べものを選ぶというのは、安全・安心のための一つの重要な目安です。そしてそれぞれ季節ごとの旬の味を大切にしましょう。年中いろんな野菜があふれ、旬の味が失われてしまった昨今ですが、それでも促成栽培などでなく自然のうつろいの中で育つ作物は、それだけで農薬や化学肥料を減らすことができ、味も格段に優れています。身土不二とは、からだ(身)と土(土地)は不二(分かちがたく結びついているもの)である、という意味です。「地産地消」という言葉もありますが、できるだけ住んでいる土地でとれたものを食べることで、その土地の風土に適した身体になり、健康を保つことができます。それから、夏にできる野菜は陰性で身体を冷やし、冬の野菜は身体を温める陽性の働きがあるなど、旬の味は、自然のリズムに順応した身体の状態をつくりだしてくれます。

”一物全体“食べ物の命を丸ごと

おうちで料理の下ごしらえをするとき、野菜はどうしていますか。大根やニンジンは葉を切り落としたうえに皮をむく、キャベツや白菜は外側の葉を捨てる…。店頭であらかじめ葉や皮がのぞいてあったりしますが、もともとはその食べもの全体がいのちです。ですから、捨てるところはないといえます。レンコンの節にはせき止めの効果があり、ニンジン葉や大根葉には、根っこ以上に栄養素が多く含まれています。また、家庭ゴミの多くは台所から出ますが、食べものを余すところなく使って野菜くずを減らせば、かなりのゴミが減量できます。ごはんは、白米よりも、まけば芽が出てくる、生命力にあふれた玄米をお勧めします。実際、玄米の方が、カルシウムやマグネシウム、ビタミンB1、鉄、食物繊維などに富んでいます。玄米には「ぬか」があります。漢字で書けば「糠」。「米」と健康の「康」です。逆に、「米」を「白」くすると、それは「粕(かす)」になります。野菜にしろ米にしろ、丸ごとを食べようと思えば、やはり無農薬・無化学肥料で栽培した安全なものを選ぶのが基本です。塩もわたしたちのいのちに欠かせませんが、これも人工的に精製され塩よりも、ニガリ成分を含んだ自然塩にしましょう。「もったいない」と感じることで、食べものを大切にしようと思う心が、ひいては健康づくりにもつながるのです。